For an Oath これまでのこと
◆For an Oath Ⅰ
魔法使いの多い国として知られるメア国に、悪魔リューノンが忍び込んでいた。王妃アルフェと長年契約していたその悪魔に気がついていた王子エドワードは、父の旧友であるルナティアと共に城から落ち延び、昔の側近であるアイリーンと再会し、悪魔リューノンに対抗するべく動き始める。
一方、メア国の王手同盟である『琥珀の盾』の元へアルフェが訪れた。悪魔リューノンに影響された、国王エルディンの旧友ルシェンの手によってエルディンが殺され、城が悪魔リューノンとアルフェに乗っ取られたことを知った『盾』の冒険者たち。そして駆け出しの『空の鈴』同盟ロード・アイカ。冒険者《悪魔と戦うもの》として、彼らもまた行動を開始した。「『盾』の魔法使いオルトが、悪魔リューノンに対抗しうる力をもつ悪魔シュラインと契約している」ということを幹部内で共有し、メアの二大同盟『琥珀の盾』『緋炎の月』はすぐに連合を組んだ。
すぐに国中に悪魔に関する不穏な噂が広がった。その頃、旅人リーフは、ルシェンを悪魔の手から取り戻すために単身行動していたルナティアと出会う。
ルナティアの話によると、悪魔に歪められたルシェンは、数年前に死んだエルナを復活させるために、メア王族と最高位魔法使いが代々守り続ける『神の石』、さらにルナティアの命を使おうとしているという。それでもなおルシェンを助けに戻ろうとするルナティアと共に、リーフは突破口を見出そうと悩みながら旅を続けた。
良案が浮かばないまま城の手前まできた二人を待ち構えていたのは、悪魔リューノンだった。逃げることすら出来ず、ルナティアは囚われ、リーフは重症を負い意識を失った…。
◆For an Oath Ⅱ
仲間を集めていたアイカと、エドワードが出会い、エドワードは城を取り戻すべく連合に加わる。
『琥珀の盾』ロード・エルミオと、エドワード、そしてその側近アイリーンには繋がりがあった。実は二十六年前、アイリーンはエドワードの妹を連れて城から逃げ、エドワードの妹をエルミオに預けていたのだ。その妹とは、アイカ。アイカと再会したエドワードは、”王の子”である自分の使命と、”アイカの兄”である自分の望みとの間で葛藤しながらも、自分の口から真実を話すことを決意する。
リーフはオルトに命を救われた。ルナティアがルシェンを取り戻すために行動し囚われたことや、悪魔に影響されたルシェンが王族と国魔法使いが代々守っている『神の石』を狙っていることを、オルトやエルミオに伝える。そしてルナティアを救うことと、ルナティアが守ろうとした二人・エドワードとその妹を守ることを誓い、連合に加わった。
連合へ『旋風』同盟も合流し、城に潜入する少数精鋭部隊が組まれた。リーダーである『琥珀の盾』の双剣士フィオは、悪魔への憎しみで剣を振るうリーフを剣技で圧倒し、心構えの面での助言を与える。そして自らと同じ精鋭部隊のパーティにリーフを加えたのだった。
エドワードは、アイカの兄のような剣士・レイキに真実を話し、そしてついにアイカに真実を告げる。アイカは冒険者として、そして立ち上げたばかりの同盟『空の鈴』のロードとして、未来を描いていた。真実を知り、動揺を超え、アイカは自らと共に生きてきた固有精霊イネインがメア国の主精霊であったことも知った。空間を司る精霊《空虚を見出す者》イネインの力を借りるために、アイカとエドワードは『琥珀の盾』のエルフ族、魔法使いのセルを訪ねた。精霊と通じ合うために助言を受け、アイカはイネインから力を借りる約束をすることに成功した。
イネインの力があれば、本来不可能であるはずの、空間魔法・テレポートでの城への侵入が可能になる。アイカはテレポートを習得すべく、エドワードと共にセルの元へ拠点を移した。
その夜ようやく、二人は心の奥の思いを見せ合い、両親のことを語り合ったのだった。
一方、ルシェンは『神の石』を守る最高位の魔法使いシルファーに助けを求めていた。自分が悪魔に影響されていることを自覚していたルシェンは、城を取り戻す枷になるくらいならと自害をも決意する。シルファーは『神の石』を守るためにルシェンからの如何なる干渉も受け付けていなかったが、ルシェンの自害を思いとどまらせ、ついにルシェンに力を貸し始めた。
◆For an Oath Ⅲ
メアの主精霊イネインと意思を通わせ、アイカはセルやリオナの指導の下、イネインの力を借りながら、《転移先》への長距離テレポートを成功させた。精鋭部隊11人での《空間移動》に備え、練習を積むこととなる。
再び集った精鋭部隊の席で、アイカとリーフは、初めてお互いの立場を知った状態で再会した。アイカは余裕のないリーフに自分自身が重なり、必死の思いを理解して寄り添う言葉をかける。
話し合いの後、精鋭部隊は腕慣らしを兼ねて予定していた依頼に向かうこととなった。『畑荒らし退治』という平凡に見える内容だが、依頼日に矛盾のある依頼は、悪魔の関与を予感させるものであった。依頼主は、エラーブル村。リーフが何日も前、ルナティアと共に訪れた村だった。
村では確かに畑荒らしがあったが、村長の様子から、村の魔法使いが怪しいと目星をつける。近隣には村人の知らない新しいダンジョンもあり、到着翌日に精鋭部隊は本戦と同じ二班に分かれて行動することになった。夜、オルトが悪魔と契約していると話し合いで初めて知った(FaOⅡ)リーフは、まだ整理しきれていない気持ちをフィオと語り合った。フィオは“オルトを契約者だと思っていない”と言う。リーフは恩人であるオルトを信頼したい気持ちと、悪魔を嫌悪する気持ちの間で揺れながらも、この戦いではオルトもオルトの悪魔も味方なのだ、ということには頷くのだった。
ダンジョンへは、フィオ、リーフ、アイカ、メル、アーシェ、アイリーンが向かった。
待ち構えていたのは、召喚獣と、使い魔だった。使い魔はアイカたちに呪いに似た言葉を伝言し、自爆してアイカたちを殺そうとする。アイカは反射的に《空間移動》を発動し、命からがら逃れたのだった。
一方、村でも戦いがあり、黒幕であった村魔法使いとの決着がついていた。悪魔リューノンの一部が憑いていたのだという。リーフは敵わなかった相手の一部が滅んだことで確かな一歩だと感じる。一方でアイカは、使い魔の遺した言葉や、村であった戦いが心にひっかかるのだった。
依頼を完遂し、精鋭部隊は帰路につく。練習もかねてアイカは《空間移動》を試みるが、途中で使い魔の言葉が蘇り、発動する前に魔法を失敗してしまう。
準備はほぼ整い、本戦まであと数日。レイキがアイカを訪ねてきた。アイカの余裕のなさを敏感に感じ取り、レイキはアイカと語り合う。そうしてアイカは自分を見つめなおし、全てを知る前の自分がやってきた、レイキと始めたばかりの『空の鈴』の活動を、もう一度再開したいと心から望むのだった。